巨匠スティーブン・ホールと
若手建築家山根氏のデザインロジックの調和
前回に引き続き、ネクサスワールドの「スティーブン:ホール棟」賃貸物件についてのご紹介です。
今回はメゾネットになっている4・5階のうち、4階をご案内いたします。
パブリックな5階からプライベートな4階へと続く階段
5階は玄関とリビングダイニング、キッチンなど水回りがあり、住まいの中でもパブリックな空間となっていました。
対して階段を下った先、4階部分はプライベートな空間となっています。
セミパブリック空間
<4階 個室A>
4階に降りると、扉のないひと続きの空間に辿り着きます。
階段の手すりは当初のオリジナルをそのまま使用 無機質だけど冷たくはない不思議な感じ 元々は2室だったところ、壁を取り払い1室に。広々した空間
イメージパースここは1つの個室として位置付けられた部屋ですが、5階からひと続きのセミパブリック空間です。
家族が上階と下階に離れていても、何かしら物音や気配を感じられるようにできています。
姿は見えなくても存在を感じることで安心感を抱いたり、気配を感じるからこそできる心配りもあるはず。
扉で仕切られた個室だらけの家とは異なり、”家族と一緒に暮らしている”ことをより実感できるつくりになっています。
イメージパース
<4階 個室B>
5階のパブリック空間から4階に降りてセミパブリックの個室Aを経て、扉を開けると完全なプライベート空間、個室Bがあります。
唯一の完全な個室 収納は背が高く容量大。建具の取手は、スティーブン・ホールのオリジナルデザインのまま
白と黒とコンクリートで構成された、シックで落ち着いたデザイン
こちらは主寝室としての利用を想定して作られています。
デザインロジックの再構築
さて、これまでの写真を見て、なんだか色がたくさんあるし、やけに空間がデコボコしているな、と思いませんでしたか?
コンクリート、白い壁、青い壁、黒い階段など、それぞれは無機質な感じですが、それらが組み合わさった空間は、なんだかバラエティに富んでいるように感じられます。
そう、これが設計者である山根氏がスティーブン・ホールのデザインロジックを踏襲したポイント。
ここで共用部を見てみましょう。共用部は29年前にスティーブン・ホールが手掛けたデザインのままです。
美術館のような雰囲気のエントランス。様々な色や素材が使われ、重厚感が感じられる
エントランスから続く2階への階段 5階共用廊下。エレベーターが開くとこの景色。至るところに絵になる空間があります
5階共用廊下。緩やかな曲線で奥に吸い込まれていくような感覚。共用部を歩くだけでも面白いのです 3階部分共用廊下。屋根があって少し広いつくり。以前はここで住民同士のBBQパーティーが開催されていたそうです
2階共用廊下から上を見上げた景色。同じ壁面でもあえて色や素材を変えたり、凹みつけて表情豊かなデザインとしています。全部屋の間取りが違うそう
2階共用廊下に隣接する水盤。水面を見ると穏やかな気持ちにさせてくれます。街路樹のイチョウが黄色になる季節にはまた違った表情が楽しめます
5階リビングダイニング。スティーブンホールオリジナルの共用部にはなかった青色の塗装を取り入れており、爽やかな空間を演出しています
4階の個室A。こちらも青色の塗装がアクセントに
今回ご紹介しているお部屋も、スティーブン・ホールのデザインロジックを読み解き踏襲しつつ、住む方のことも想定しながらの建築家山根氏オリジナルデザイン。いわばスティーブン・ホールのデザインロジックを再構築したデザインとなっています。
世の中の建築物の中で著名な建築家が作る建物は0.01%にも満たないと言われています。わざわざその建築物を見るために建築巡り観光をする人もいるほどです。
そんな希少性の高い建築に住む、という通常できない経験は、きっと新しい気づきを暮らしに与えてくれることでしょう。
出ました!
福岡の建築好きなら一度は見に行ったことがあるネクサスワールド物件!
ネクサスワールドは1980年代に磯崎新のコーディネートにより、
福岡市東区香椎浜にて、国内外の著名建築家6名が1人1棟の集合住宅を設計したプロジェクトです。
香椎浜は集合住宅が集まる住宅街ですが、このネクサスワールドの区画は一際目立つ街区になっています。
分譲して30年ほど経ちますが、なかなか流通せず希少性が高いのがネクサスワールド物件です。
今回賃貸募集をするのは、スティーブンホールが手掛けたスティーブンホール棟の最上階5階。
メゾネット形式のお部屋です。
イメージパース
巨匠と新進気鋭の建築家のコラボレーション
今回、スティーブンホールが設計したオリジナルから、建築好きなオーナーは意を決して内装のリノベーションに取り組まれました。
オーナーの意を汲み、リノベーションの設計を行ったのは設計事務所『山根製作所』の 山根 俊輔 (Shunsuke Yamane) さん。
山根さんは建築家乾久美子さんの事務所から独立した新進気鋭の建築家さんです。
オーナーは乾事務所にいた時の山根さんの仕事ぶりを見て、今回の依頼につながったそうで、山根さんに厚い信頼を置いてます。
山根さんは巨匠スティーブンホールの物件のリノベーションを手がけるということで、スティーブンホールについて相当勉強されたとのこと。
話を聞いていると緊張と共に気合いを感じました。
それでは、リノベーションが終わったばかりのお部屋の中を紹介してまいります。
前編の今回は、1層(4階)と2層(5階)のうち、玄関がある5階をご案内いたします。
<玄関〜リビングダイニング>
普通のマンションでは階段のある部屋はあまり見られませんが、スティーブンホール棟は1つの部屋が2層構造になっています。
室内に階段がたくさん
4階への下り階段
2層目(5階)はさらにスキップフロア(0.5層分の段差)となっており、空間の広がりがある空間です。
玄関に入ると明るく天井の高い広々とした空間が広がり、通常のマンションでは味わえない清々しい感覚を覚えます。
視界に色々な素材や色が入るように作られており、スティーブンホールのデザインを踏襲
イメージパース
<リビングダイニング〜キッチン>
玄関からキッチンはフラットにつながり、そこからリビングダイニングは0.5層分程度上がっています。
廊下の奥がキッチンにあり、この廊下に家事動線が集まるように工夫されている
キッチンに立つ人とリビングダイニングのソファに寛ぐ人の目線が同じ高さくらいになるように設計されています。
他にはないおもしろい空間体験です。
キッチンからダイニングを見る ダイニングからキッチンを見る
イメージパース
キッチン設備は新品を取り入れ、使い勝手のいいキッチンに。
ステンレス製の機能的なキッチン。食洗機付き
リビングダイニングは天井に近いところに設置された窓からの自然光(ハイサイドライト)が入り、穏やかな明るさに包まれています。
天井に近い高さの窓により明るい部屋が演出されます
イメージパース
5階にはお風呂やトイレもあり、それぞれ新しい設備に変わり、より利便性の高い生活ができるようになりました。
ウォシュレットと手洗い付き 洗面脱衣所 浴室乾燥機付き
玄関備え付けのシューズボックスも、スティーブンホールの凝ったデザインが踏襲されています。
いかがでしたか?
もともと建築学生だった木村が入らせてもらい、写真を撮影させていただきましたが、
カッコ良くてテンション上がりました!建築好きの方にオススメです!
後編は階段を降りた下の階、4階に続きます。
お楽しみに!